外部調査委員会もつらいよ?ニデックのタコ配当の外部調査報告書の開示

テーマはニデックの外部調査委員会の報告書のリリース 日常の話

ニデックのタコ配当について、2023年6月2日の会社のリリースで実施予定とした外部調査委員会の調査が終わり、2023年6月16日にニデックより公表されました。
(前回の記事:監査法人もつらいよ。ニデックvs京都監査法人の力関係が、、、。
タコ配当としていますが、ニデックは業績好調で、臨時決算さえして利益を取り込んでいればおそらく違法配当ではなかったはずなので、儲かってないのに配当するというような悪質なタコ配当ではなく、形式的に違法配当となっただけと思われます。

特別調査委員会は弁護士3名

特別調査員会は希総合法律事務所の結城弁護士、川西弁護士、吉田弁護士の3名で構成されています。

結城弁護士は、以前には、2021/10/15付けの株式会社北弘電社、2020/12/16付け小倉クラッチ株式会社、でも調査委員会の委員長をされています。(参考:第三者委員会ドットコム

株式会社北弘電社の報告書小倉クラッチ株式会社の報告書をさらっと目を通しましたが、2つの報告書では最後の結びが特徴的でした。事案の概要や原因分析や再発防止といった報告の後に結びとして、調査の所感や会社への期待といった熱い想いがつづられていて、人情派調査委員会という雰囲気があります。

残念ながら(?)、今回のニデックの報告書では再発防止までのさらっとした報告書となっていました。

原因の分析結果は上場企業共通の課題

調査報告での原因分析結果として、どこの上場企業でも当てはまるような原因で、上場会社は他山の石として教訓にすべき原因分析となっています。

そのなかで特徴的なのは退職や人事異動が多いかなという印象でした。ニデック(日本電産)のような大企業でも経理人材の確保というのはなかなか大変ということは、中堅上場会社などは本当に確保するのが大変なんだろうなと思わせます。

また、決算作業は各自の担当が分かれているので、部内全体でスキルアップするなどは難しいのだろうなと思われます。

自己株式の取得が急に増えたという変化にルーティンの決算体制では上手く対応できなかったという印象でもあります。

調査報告書では原因分析については、丁寧に書かれていて経理部門での教育や変化への対応、財務部門等との連携といったところは非常に参考になる記述となっています。

取締役の責任は刑事も民事も責任はないという結論

原因分析の丁寧さと打って変わって、取締役の刑事、民事の責任については、法律素人の感想ですが、やや荒っぽく片付けたなという印象です。

まず、刑事責任については、結論が「ニデック社の取締役等に上記の刑事責任は認められない。」ってそんな言い切っていいもんなの?と思ってしまいました。

とは言え、刑事責任があるという事実もないので、まあ許容範囲ですかね。

民事責任は、ちょっと苦しくないかと突っ込みたくなります。

「その職務を行うについて注意を怠らなかったこと」を証明しない限り、会社に対し、連帯して、剰余金配当額に相当する金銭を支払って填補する義務を負うものとされている。』と会社法の規定を取り上げの今回事例をこれに当てはめて判断しようとしています。

原因分析のところで、取締役による慎重な確認の不足」として「件自己株式取得等が分配可能額規制に違反したことの原因の一つが取締役による慎重な確認の不足にあったことは否定できない。」としています。

ところが、突然、
「取締役に対し、剰余金の配当や自己株式取得の場面において何らかの上限額の規制が適用されることの認識を求めることは、決して過度な要求とまでは言い切れないがその認識を欠いていたという事実だけをとらえて、取締役がその職務を行うについて注意を怠ったとまではいえないと考えられる。」
「分配可能額規制を遵守するための分配可能額チェックリストが作成・運用されており」(これは自己株式取得では利用されておらず中間配当でも有効に機能していなかったわけですが)「適法に行うことを担保するための一定の体制は整備・運用されていたといえる。」
と持っていき、
最後には、「ニデック社の取締役が、所管部署及び担当・統括執行役員を信頼し、本件自己株式取得に係る取得枠の総額や本件中間配当の金額について適法な内容であることの確認がなされていると考えたこと自体は、必ずしも不合理とは言えない。」
として、
「ニデック社の取締役は、本件自己株式取得等に係る「職務を行うについて注意を怠らなかった」
と評価される
ものと考えられる。」
と結論づけました。

この辺りが外部調査委員会もつらいよ、という部分かも知れません。

今回の違法配当も形式的には違法配当ですが、臨時決算さえしてその時点までの利益を取り込めば、おそらく分解可能利益の範囲内であったんだろうと想像されるので、会社資本を浸食するようないわゆる悪質な違法配当ではなかったと思うので、まあ取締役に責任ありで補填させるというのも誰のために補填するんだという気もします。

ちなみに、2013年に阿波製紙という会社でも同様の中間配当での違法配当が発生していて、今回と同じように6月になって発覚したというのがありました。
この時は、金額が4,100万円と少額(庶民にとっては大金ですが)であったため、阿波製紙の社長が「取締役に課された補填責任の履行」として補填したとされています。

最終結論は従業員のせい?

揚げ足をとるわけではないですが、外部調査報告書では、原因はいろいろあるものの、取締役には刑事上の責任もなく、民事上の責任もない。「「職務を行うについて注意を怠らなかった」という結論となっています。

そうすると、取締役は仕事をきっちりして注意を怠らなかったけれど、従業員がちゃんとしなかったせいで、間違った取締役会決議をして自己株式の取得や中間配当をしてしまった、という結論ということでしょうかね。
たこ足ならぬトカゲのしっぽと言っては言い過ぎですかね。

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